フラット35の融資限度額引き上げ

住宅ローン、融資限度引き上げへ フラット35、1億2000万円
(2025年12月20日 共同通信)

フラット35の融資上限額が8,000万円から1億2,000万円に引き上げられるそうだ。
昨今の不動産価格の高騰からすれば限度額の引き上げは当然か。そんな金額誰が借りるねんと思う方も多いだろうが、今後も金利が上昇していく可能性が高い日本において、金融リテラシーが高い購入層こそ固定金利でリスクヘッジを図ろうとするのではないだろうか。
そもそも日本人は住宅ローンを含めた借入金に対する認識が家計簿の域を出ていないと思う。余裕資金ができれば住宅ローンを繰り上げ返済する家庭が多いのではと想像するが、私は住宅ローンをぎりぎりまで返済すべきではないと考えている。
理由はいくつかあるが、まず1つ目が借手の最大のメリットである期限の利益を繰り上げ返済により自ら放棄してしまうということだ。期限の利益とは何かというと、簡単に言えば借入金をすぐには返さなくていいということだ。特に住宅ローンに関して言えば借入期間がかなりの長期となることから、数十年支払を猶予されている、つまり時間を与えてもらっていると考えることができる(もちろん毎月の返済は必要だが)。その時間を利用して労働収入を得たり資本収入を得たりといった行動の選択肢を広げることができる。
2つ目の理由としては、繰り上げ返済に充てる予定の資金を投資運用していれば支払利息を上回る経済的利益を得られる可能性が高いという点だ。特に最近は低コストな優良投資信託が増えているので、王道の投資信託等で長期保有していれば高確率で支払利息を上回る運用益を得ることが可能であると考える。まさに住宅ローン×長期投資は非常に相性の良い組み合わせである。
3つ目の理由は、今後のインフレを考えれば、借入金の実質的な残高は自動的に減っていくということである。日本で今まさに起こっているインフレに対して、現預金の実質的な価値が下がっていくということはよく言われるところとなっているが、これは借入金についても同じことが言える。インフレ下においては実物資産(不動産や株式)は額面金額(名目価値)が徐々に上がっていくことになる一方で、借入金については過去に借り入れた額面金額(名目価値)が動くことはない。金利を別として考えれば毎月支払う住宅ローンの金額は変動することはないが、実物資産や賃金はインフレにより額面金額が上昇していくこととなり、相対的に住宅ローンの支払い額が減っていくことになる。
これらの理由が私が住宅ローンを繰り上げ返済すべきでないと考える理由だ。個人的にも上記の内容に沿って個人資産を運用している。
これらの内容は経済に関する知識もさることながら、会計に関する知識(特にBS的な考え方)があればより理解ができるのかもしれない。

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